コミックマーケット81(2011年冬)発行。本文60p。頒布価格500円。
シナリオ作成の初心者向けに、ダンジョンシナリオの作り方を解説した本です。
内容は、特定のTRPGシステムに依存したものではなく、戦闘を中心としたTRPGであれば汎用的に適用することができます。主にファンタジー世界を舞台にしたTRPGを想定していますが、中核となる考え方は現代物やサイバーパンクなどでも応用できるようになっています。
シナリオ作成に慣れていないゲームマスターに向いているシナリオと言えます。最初期のTRPGのシナリオが、もっぱらダンジョンを探索するシナリオだったことからもわかりますし、実際、とてもわかりやすい要素からなり、セッション中に問題が発生しにくく、容易に面白くすることができるといった特徴があります。
一方で、TRPGが誕生してから30年以上が経過した今でもダンジョンシナリオは廃れておらず、高レベルのキャラクタを対象としたダンジョンシナリオも存在します。決して経験の浅いゲームマスター向けのシナリオだけではない、とても奥の深いものだということが窺い知れます。
本書は、以下のような三部構成になっています。
ゲームマスターの経験はなくても構いません
TRPGについて聞いたことがあるだけ、あるいはリプレイを読んだだけですと、ちょっと難しい部分があるかもしれません。もっとも、筆者を始めTRPGが広まり始めた頃のマスターはそんな状況で稚拙ながらもシナリオを自作し楽しく遊んできましたので、根気よくルールブックを読む力と、気の知れた寛容なプレイヤたちが相手であれば、うまくいくでしょう。
本書では、「セッション」「パーティ」など、TRPG特有の用語を特に断りなく使っていますので、TRPGを全く知らない方が読みこなすにはちょっと難しいと思います。本書を読む前に、機会があれば一度遊んでみてください。TRPGを知ってる友人がいなければ、代わりに「リプレイ」と呼ばれる本をいくつか読んでみてください。
本書は、ゲームマスター初心者を主な対象としていますので、高度な技術については解説していません。
またダンジョンシナリオ以外の、シティアドベンチャ(町を舞台にしたシナリオ)やウィルダネスアドベンチャ(屋外を舞台としたシナリオ)を作りたい場合は、拙著『TRPGシナリオ作成の道具箱』をお勧めいたします。